科学としての心理学
現代の心理学は科学の一つとして捉えられることもあり、スタンフォード大学やオックスフォード大学などでも研されるような学問の一つである。しかし、過去には科学としては未熟なものして扱われるようなこともあった。しかし、それを科学的なものとして発展させたのが、ジークムント・フロイトである。彼は決して一から心理学の理論を作ったわけではなくて、過去に無意識に着目している人は全くいなかったわけではない。しかし、理論として体系立てて(システム化)心理学を”科学的に”解明しようとした人物としてフロイトは評価されるような人物だと思う。もちろん、現代の科学からしてフロイトの理論に反するような証拠や裏付けがないような考え方もある。なので鵜呑みにするのは危険だと思う。(どの情報においても言えることだが)しかし、理論として的外れなことを言っているわけではないので、一つの考え方として知っておくのは意味がないことではないと思う。興味深いので、少しでいいので知ってもらいたいと思う。
フロイトとは?
フロイトは「精神分析学」の創設者であって精神分析学の精神科医である。ユングの「分析心理学」やアドラーの「個人心理学」とは区別される考えかたである。クライアント(患者)には神経症(身体的には問題がないが精神に問題がある状態、現代ではあまり使われない)や心的外傷のある人が多かった。また、フロイトは研究者でもあったので医者であるのと同時に哲学者でもあった。
フロイトが精神分析につながるきっかけとしては1885年にパリに留学した時に神経学者のマルタン・シャルコーが催眠術によってヒステリーと同じ症状を引き起こしていた。そして彼からフロイトは催眠によるヒステリーの治療法を学んだ。
30歳のときに地元のオーストリアの首都であるウィーンに戻り、催眠によるヒステリーの治療を実践に移し、経験を重ねていく。女性のヒステリー患者が多く通い、その治療経験から精神分析法が構築されていく。最終的には催眠療法→自由連想法になった。自由連想法とはヒステリー症状がある患者を寝椅子に横たわらせ、頭に浮かぶことを自由に語らせることで、無意識下に押し込まれたことを言語化させる方法になる。自由連想法は当時の精神分析療法の基礎につながる。
フロイトが最初に掲げた幼児期から性欲の影響があるとする「性理論」は当初は激しく批判された。フロイト性の欲動を二つの種類に分けた。「性の欲動」という一元論を二元論にわけて人間にはもともと死を望む気持ちがあるという「死の欲望」と性の欲動と自己保存欲動(本能的に生きたいと思う気持ち)が含まれる、生きようとする気持ち「生の欲動」があるとした。
フロイトの理論
失錯行為と夢
人は誰でも読み間違いや言い間違い、物忘れや夢を見る。これらの行為は失錯行為といわれ、フロイトは本人も気づかない無意識的な意味があると考えた。
また、フロイトは夢についてフォーカス(注目)していた。「夢は願望の充足」として考えた。夢は願望を表し、夢の分析によってその人の隠された願望や不安を読み取れると考えた。寝ている間に抑圧する力が弱まり、無意識の欲求が強くなる。しかし、夢は変形、歪曲、加工されているため直接的に読み取れない。だから、「夢判断」の手法につながる。また子供よりも大人のほうが夢が難解に感じるのは大人は夢を検閲して願望を違うイメージに置き換えるからと思われている。夢の事象において一定の要素は一定の意味をあらわすパターンがあるとしてそれを「夢の象徴」とした。
「局所論」
フロイトは無意識の存在に着目して意識は氷山の一角にすぎず、意識の大半は無意識であると考えた。また、無意識の中にも何かきっかけがあれば意識できる前意識と、全く意識できない無意識の二つに分かれているという仮説を立てた。これを局所論という。
根源的な欲求:リビドー
フロイトは人間が無意識的にもつ心的エネルギーを「リビドー」として「性的衝動を発動させるもの」とした(ユングはすべての精神エネルギーとした)。根源的な本能である「性の満足」は生まれたときから人間の精神発達の源となった。リビドーの発達段階は4つあり、口唇期、肛門期、男根期、性器期の4つにわかれている。
エディプスコンプレックス
子どものときに経験する普遍的なコンプレックス(劣等感ではなくて複雑な感情のこと)であり父親や母親に対する葛藤のことである。
※エディプスとは父を殺し自分の母親と知らずに結婚したギリシャの悲劇的な人物
主に以下の3つがあげられる
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異性の親に対する愛着
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同性の親に対する敵意
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罰せられるかもしれない不安
同性の親の場合は異性の親をめぐって攻撃心や競争心を持つと同時に同性の親への愛情を持つためそんな自分を不安に感じてしまう。男の場合には父と母をめぐって対立して嫉妬や競争心を持つが父に対する愛情から不安も感じる。
しかし、この考え方は近親相姦の禁止(インセスト・タブー)に反するし、生物学的には劣性遺伝子が発現しやすくなり死のリスクが上がる可能性がある。また、ウェスタ―・マーク効果(幼い頃から親密に育った人々の間には、性交に対する生得的な嫌悪が存在する)という仮説もあり、真偽はわからない。
構造論
前に述べた「局所論」の考え方をさらに発展させたのが「構造論」である。
引用: Yahoo!知恵袋
用語説明
このようにみると、精神分析では心理的な問題が(過去の両親との)性的葛藤を無意識的に抑圧することによっておこると考える。現代風に言い換えると。恋愛や自分の性欲によるトラブルやトラウマによって意識的にまたは無意識的によくあつしてしまう、みたいに言い換えられると思う
治療の目的
精神分析においては、自由連想法などにより無意識の世界に抑圧されていたものがわかることによって
- 無意識に対して自我による支配は成立
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無意識に翻弄されなくなる
治療の目的とは、無意識に翻弄されないように自分が無意識を調整できるようにすることである。無意識の欲求や本能に影響されず、自我を確立しようとするのは、近代的な考え方だと思う。
まとめ
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フロイトは精神科医であり、精神分析学における心理学者でもある。催眠療法から自由連想法へ移り、無意識の世界を明らかにしようとした。
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また、人は性的衝動を発動させる「リビドー」に影響されており、生物的な本能であるイドを超自我によって意識的に調整して自我を形成すべきと考えた。
たしかに、一見正しくも見えるが、進化心理学の観点で見れば性格にも遺伝の影響が出るのでみんなが心のコントロールをできるわけではない。また、エディプスコンプレックスには生物学的には問題点が残る。そして、近代的である確立された自我というのは現代においては複雑なアイデンティティによって人は個性などを形成しているので「自我」というものが何かの対象(好きなもの:アイドルやインフルエンサーなど)に溶けていることが多い。しかし、構造論や局所論に関しては、特に「意識は氷山の一角」というのは「暗黙知」にもつながる考え方だと思う。また、アドラーやユングなどの他の心理学者やフロイトの「防衛機制」や転移に関しては調べたいと思う。読者は、人の本能は何によって動かされるのか?ぜひ一度考えてみてほしい…
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